KUWANA No.5
2017年 01月 22日
1979年に発売されたこのアルバム。
レコーディングの楽器は全部セットしたし、一番ツアー三昧の生活を送っていた頃のアルバムだから、本当は桑名さんのアルバムの中でもっとも身近なものなのだが、その反動なのか、この20〜30年聴いたことがなかった。
mp3化すらしていなかったのだが聴いてみたくなり、日曜の夕方、Z5に取り込んで麦焼酎の麦茶割をやりながら拝聴させていただいた。(笑
このアルバムのツアーは1曲目がボニー&クライドをテーマにした「俺達に明日はない」。
ドン中で桑名さんがマシンガンのようにギターを構えて、ゆっくり客電が落ちると、ドンオープンと同時に桑名さんのギターからイントロが始まる運びになっていた。
1ベルが入ってメンバーがステージに来ると、チューニングして音色エフェクトなどすべて「俺達に明日はない」のイントロに合わせたBCリッチのイーグルを桑名さんに渡す。
ギターを受け取った桑名さんは、ボリュームのつまみだけゼロからフルにアップする。
ツインリバーブから「サー」という低いノイズが出る。
本当はここで音を出してセッティングにトラブルがないことを確認してほしいのだが、いつ客席のPAが生きるがわからないから桑名さんは音を出さない。
そして、ざわめきの中、本ベルが入って客電が落ち、静寂と緊張感が支配する暗闇の中で緞帳が上がるのだ。
たぶん人生の中であそこまで緊張する一瞬はなかったと思う。
もしも桑名さんのギターになにかトラブルがあればコンサートはド頭でぶち壊しになってしまうのだから。
信頼してくれていたからこそ桑名さんは音を出さなかったのだが、1回だけイントロの音がでないことがあった。
暗闇の中で幕が上がり、桑名さんのピックが弦を弾いいてもアンプから音が出なかったのだ!!!
あの頃、日本を2週半くらいしたからどこだったかは覚えていない。
その時、桑名さんは満員の客席に謝ってからドンを閉めさせて、本ベル後からやり直した。
あの日はぶっ飛ばされても仕方がないと覚悟していた。
でもアンコールのロケンロールで総立ちの客席を異次元にトリップさせて、最後にモニタースピーカーに腰掛けてローディーの歌を歌った桑名さんが控室までなだれこみ、ボルテージが下がる頃合いを見はからって楽屋に行くと、「たのむわーホンマに」と笑い飛ばしてくれた。
そんなとんでもない緊張感の思い出が、一番このアルバムを聞かなかった理由かもしれない。
でも桑名さん、本当は好きなアルバムなんですよ。
20歳の自分の姿を思い出して涙しそうになった。
はるか彼方、砂漠・・・
はるか彼方、砂漠・・・