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徒然な視点

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by yoshiaki sato

Legeod of R&R

チャック・ベリーが90年の人生に幕を下ろした。

1980年代の終盤、MZA有明で大ホールのチーフやっていたときに、ベン・E・キングと同じ日に来場した。
ベン・E ・キングのリハーサルが終わっても、チャック・ベリーは楽屋に入らない。

当日はKYODOの仕切りだったと思うが、どうするのかなと思っていたら、楽屋入りしないまま、なんと開場してしまった。
チャック・ベリーはリハなしのぶっつけ本番ということになったのだ。

ところが、60分間の客入れ時間を半分くらい過ぎたころに楽屋入りしたチャック・ベリーは、客席内にいる客を一旦ロビーに出してリハをやると言いだした!
しかも、レストランから運ばせた食事を済ませてからだと言う。
ケアを担当していたKYODOの有名な年配女性が、「彼は冷たいスープしか飲まないから替えてちょーだい!」とホールオフィスに怒鳴り込む。
MZAというところはレストランもクラブもあったから、そんな急なオーダーにもしっかり応えられるホールだった。
食事を済ませたチャック・ベリーは、、そこからたっぷり30~40分のリハーサルを行ったのだった。
おそらく曲順など決まっていなくて、若いバンドメンバーはチャック・ベリーのギターや、ちょっとしたフリで次の曲を知る。

90年代になって、ジェームス・ブラウン日本ツアー(といっても東京と大阪の2本)の受け入れ側ステージディレクターをやったときも同じだった。
曲順は決まっていなくて、JBの手の動きや顔色を見てバンドメンバーは次の曲を判断していた。
こっちのGODも、さすがの存在感だった。
1本目の大阪城野外ホールは、デトロイトの空港が雪で飛行機が離陸できないという理由で、やはり大幅に遅れて会場入りした。
JBの楽屋には、昔の美容院にあったような、スタンド付きで上からすっぽりかぶるドライヤーが必需品だった。
リハのときはぺったりした小さい頭なのだが、本番はそのドライヤーでフワッと膨らませるだ。
舞台袖で一緒に出のタイミングを待っていると、よぼよぼの爺さんがうしろにいるので、また関係者がここで見るのかなと思っていたら、JBのマントを受取にいく執事の人だった。
彼はそのためだけに、JBのステージの一員となっているのだ。

おっと、つい話がそれてしまった。
もうひとりのGODに話を戻そう・・・

当日、大ホールのフロアはスタンディングになっていたはずで、ようするに客は前の方から場所取りをしていたのだから、「これからリハーサルをやるので一旦ロビーに出てください」というアナウンスにブーブーである。
リハーサルを終えて客を入れ直し、先の出番であるベン・E・キングのステージが始まったのは、予定の開演時間を45分ほど過ぎたころだったろうか・・・。

1時間のステージが終わっていよいよGODの出番。

リハーサルでGODが出した照明のオーダーもすごかった。
まぶしいから(白内障を患っていたらしい)前からの照明はなし。
緑は不吉な色だからダメ。
アンバーは肌が汚く見えるからなし。
照明マンが使えるのは、上と横からの生(色なし)か青赤くらいのものだった。

だからよく見えない。
ちゃんと見たかったのでホールオフィスを後輩に任せて、フロアの前方まで体をねじり込ませて行ったのだが、それでも表情はよく見えなくて白目と歯だけがくっきり光っている。
異様。
「よく見えねーゾ!!」
という怒号もでているのだが、GODのオーダーなのだから仕方がない。

ジョニーBグッド
ロールオーバーベートーベン

GODはES-335の弦をほとんど叩くように弾いている。
弦が切れても関係ない。
終わるころ、335には3本の弦しか残っていなかった。
曲順だけじゃなくて、始まり方も終わり方もすべてGODがその場の空気で瞬間的に決める。
サウンドを支えているバンドは一瞬たりともGODから目を離せないから、ステージ上に流れている空気がわかる目で見ているとすごい緊張感だった。

破天荒とかマイペースとか、そういう言葉では表せない。
スケールがぜんぜん足りない。
GOD of R&R
たそれだけを見るために集まった客だった。
ホールを出ていく1500人の人たちは、みな上ずっているのがわかった。

GOD、GREATな夜をありがとうございました。
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by grid303 | 2017-03-21 21:35 | Music